本当に役に立っている猫の舌
くしとスプーンを兼ねる舌
猫になめられたことがある人はご存じのように、猫の舌は表面がザラザラしていて、意外に痛いものです。
このザラザラは、舌の表面にはえている舌乳頭とよばれる突起のせいです。舌乳頭は、喉に向かって後ろ向きにはえ、毛づくろい用のくしとして使っているんですね。
舌の先のくぼみで、スプーンのように水をすくい取って、食べ物を口の中に運んだり、骨についた肉をきれいになめ取るのに役立っているんです。
体をなめて毛づくろいをするとき、くしとしても使われますが、毛の汚れや余分な毛を取り除くのに、後ろのほうを向いている舌乳頭は都合がいいわけです。
しかし、毛を飲み込みすぎると、胃の中に毛玉ができて、毛球症っていう病気になってしまうらしいので気をつけないと行けません。
猫舌の意味
熱いものを食べたり飲んだりするのが苦手な人を、猫舌といいますね。猫は、自分で煮炊きすることはできないので、熱いものを食べることに慣れていないわけです。
で、猫はほんとうに猫舌なのです。同じことは、犬にもいえます。
しかし、犬舌とはいいません。英語の辞書をひいてみても、猫やほかの動物の舌で、日本語の「猫舌」を意味する表現は見当たらないのです。日本語独特の表現なのでしょうか。
薄いけれど筋肉が発達した舌
猫が水を飲むところを観察すると、おもしろいことに気がつきます。猫の舌は人間の舌と比べると薄いわりに、筋肉が発達しているんですね。
水を飲むときは、舌の先を丸めてくぼみをつくり、ペロペロとすくい上げるようにして、水を口の中に運び込むんです。
人は水を吸い込むことはできても、舌ですくい上げることはできませんね。猫の舌はスプーンの役目もしているから、ほんとすごいんです。
獲物を捕らえて食べる動物の口
肉食に適した歯
子猫は生後2~3週で乳歯がはえはじめ、生後6週ほどではえそろいます。生後7~9か月ころには、永久歯にはえ変わります。
永久歯の切歯は小さく、ぴったりとくっつき合ってはえています。切歯の先は鋭くとがっていて、獲物を押さえたり、毛や羽をむしるときや毛づくろいに使われます。犬歯は大きく発達し、内側にカーブしているんです。やっぱり猫も肉食獣なのですね。
相手を仕留める歯
犬歯の本来の役目は獲物を殺すことなんです。切歯が小さいために犬歯を獲物に深く突き刺すことができるわけです。
人と違って猫の臼歯は先がとがっています。上あごの臼歯と下あごの臼歯はかみ合わず、歯車のようにそれぞれのすきまに重なるようになって、肉を引き裂くのに使われるんですね。
猫の下あごは上下に動きますが、左右に動かすことはできません。このため、よくかんで食べることはできないのです。