はげしい動きを支える感覚器官
空気の流れを感じ取る高性能レーダーのひげ
猫の顔には、口のまわりにひげがはえています。ひげはふつうの被毛に比べて2倍以上も太く、かたくてごわごわしているんですね。
皮層に埋まっている部分もふつうの被毛に比べ3倍も深くなっていて、このひげのまわりをたくさんの神経が取り囲んでいるんです。
猫はひげを使って、すきまを通り抜けられるかどうか判断するといわれます。ひげはすぐれた触覚器官で、体全体をおおう毛とは区別して、触毛とよんでいます。
触毛は、猫が動くことによって起きる空気の流れの変化を感じることができるんです。その結果、猫はものに触れなくても、かたいものがあるかどうかわかるわけですね。
夜間、猫が獲物に忍び寄り、おそいかかることができるのはひげのおかげなんです。獲物をつかまえたあとも、ひげは口にくわえた獲物を取り囲むように包み、獲物の動きを監視しているんです。ひげは高性能のレーダーといってよいでしょう。
出し入れ自在の爪
猫の前足には指が5本、後ろ足には指が4本あります。それぞれの指には、かぎ状にとがった爪がついています。
爪は普段、皮層のひだの中に隠れていて、不必要に磨耗しないようになっています。だから、猫が歩いたあと、地面に残った足跡を見ると、爪の跡は残っていないわけですね。
爪の跡が残る犬と対照的で、犬の爪は出っばなしなんですね。しかし、普段は隠れている猫の爪も、木に登るときや獲物を攻撃するときはひだから現れることになります。
猫は必要に応じて爪を出し入れすることができるのです。猫は指と指が比較的ゆるく結合しているため、指をグローブのように大きく広げることができます。
このため獲物をおそうとき、大きく広げた指から出た鋭い爪を武器として、相手に効果的な打撃を与えることができるですね。
クッションの役目をする足の肉球
足の裏には、毛がはえていないふくらんだ部分があります。ここは肉球とよばれています。肉球はほかの皮層より2倍も厚い皮層でおおわれているんですよ。
肉球の皮層は丈夫でやわらかく、クッションのように働いて、音もなく獲物に近づくことができるわけです。
肉球はパッドともいい、前足には、5本の爪のつけ根に5個、中央に大型のものが1個、手根部に1個、後ろ足には4本の爪のつけ根に4個、中央に大型のものが1個あります。前足の手根部の肉球は後ろ足にはありません。