あわてないための予備知識
環境の変化を嫌う猫
犬は人につき、猫は家につくといわれるように、猫は環境の変化を極度に嫌います。旅行の楽しさがわからない猫にとって、住み慣れた家から見知らぬ土地に連れ出されることは、とても迷惑かつ不安なのです。
けれども、人間のほうでは、そうは考えません。猫も家族の一員なのだから、猫だけを残して家族旅行に出かけたら、猫がさびしがるだろうと考えてしまいます。
その結果、家族旅行をとりやめにしたり、行けない人が出たりすることもあるでしょう。
逆に、嫌がる猫を無理に連れ出したため、猫が車に酔ってしまったり、電車のこともあるでしょう。目的地に着けば着いたで、ペットの宿泊断られたとあっては、まさに泣きっ面に蜂です。
このように、なんの予備知識や準備もなしに猫を旅行に連れ出すと、トラブルのもとになります。
猫に留守番をさせる場合でも、同じことがいえます。猫を連れていくにせよ、いかないにせよ、人間たちが旅を楽しみ、猫はストレスや苦痛を味わうことなく、旅に同行あるいは留守番をするためには、日ごろから心がけが必要です。
短期間なら猫に留守番させる
1~2日ほどの外出なら、猫に留守番させることができます。餌は、腐りにくいドライタイプのキャットフードを、日数分より多少多めに用意します。
食べるたびに一定量が供給される、自動給餌器も市販されています。飲み水は大きなボウルや受け皿にたっぷり入れておきます。
猫は汚れたトイレを嫌うので、トイレを複数個用意することもポイントです。
助け合って預かり合う
用事や旅行で家を何日かあけなければならないことは、必ずあります。その日のために、猫を飼っている人同士で助け合うという方法があります、
よその猫を預かるときに最も気をつけることは、自分の飼い猫と預かった猫の折り合いをどうつけるかです。猫同士にも好き嫌いがあります。
見も知らぬ猫同士が、そのまま同じ家の中で仲よく生活してくれるとはかぎりません。けんかをしてけがをしたり、どちらかが家出してしまうといったトラブルも発生しがちです。
預かる前から何回かお見合いをしておくとよいでしょう。預かってからも猫の様子をよく観察し、トラブルの気配を感じたら、預かった猫をケージに収容するなどの工夫をして、別々に飼育します。発情期は不要な交配を避けるため、預かってはいけません。
知人に預ける場合は猫を飼っていない家に
2~3日以上留守にするときは、猫を人に預けるか、留守宅で猫の世話をしてくれる人を探します。
人に預ける場合は、猫の性格や癖、餌の好み、かかりつけの動物病院の電話番号、あなたの旅先の連絡先などをメモして渡します。
猫の餌や食器、トイレ、爪とぎ、遊び道具なども、相手の家に届けます。預け先は、猫同士のトラブルを避ける意味から、猫を飼っていない人のほうが適切です。
ペットホテルに預ける
いちばん手間がかからないのは、ペットホテルに預けることです。ただし、ホテルによってサービスに格差があるので、利用したことのある人から話をきき、自分でも料金や衛生状態、餌などの項目を事前にチェックしておきます。
かかりつけの獣医師に相談すれば、動物病院で預かってくれることもあります。
預けていた猫が家に帰ってきたら
飼い主が楽しい旅行をしているあいだ、猫はそれこそ借りてきた猫のように、突然、自分をおそった新しい雲に不安を感じながら、時間をすごしていたに違いありません。
慣れ親しんだ環境がいちばん好きな猫にとって、預け先の人がその猫を、どんなにかわいがろうと、短期間では猫が心を開くには時間が少なすぎます。預け先の人の努力が足りないのではなく、猫とは、もともとそういう動物なのです。
ですから、はやく家に帰りたいと思っていた猫は、自分の家に帰り、飼い主にも再会できてほっとしているはずです。いつも以上に、猫といっしょにいる時間をつくり、ブラッシングなどのスキンシップをしてやりましょう。