猫の縄張りは猫社会の掟、序列の印、子孫を残すために必死で関係作り

猫の驚異的な行動力と身体能力

遠くまで遊びに出かける

田舎のオスは80ヘクタール、都会のオスは13ヘクタールを巡回します。ネコの行動範囲は、オスとメスではずいぶんと異なります。

オスの行動範囲は、メスの約10倍の広さがあるといわれています。散歩をしながらメスが残したオシッコのにおいなどをかぎ、どのメスがいつ発情期を迎えるか、チェックをしなくてはいけないからです。

オスのなかには放浪癖があって、”フーテンの寅さん”のように何日も家に帰ってこないネコもいます。

ただし同じオスでも、田舎のオスと都会のオスでは行動範囲が大きく異なります。田舎のオスのホームレンジ(行動圏)は約80ヘクタール。およそ900メートル四方のスペースを定期的に巡回していることになります。

都会は食べ物が豊かで立体構造のため範囲が狭くなります。一方、都会のオスの場合はだいたい13ヘクタール。およそ360メートル四方。

建物が密集している場所では、もっと行動範囲は狭くなります。田舎に比べて都会がごみごみしているのは、人間の世界もネコの世界も同じです。

都会でネコが散歩をしていると、頻繁にほかのネコと出会います。そこでしょっちゅうケンカが起きていては、ネコとしてもたまりません。

そこでお互いに共生できるように、必然的に動き回れるホームレンジが狭くなってしまうのです。

ずいぶんと窮屈そうな生活ですが、人が多い分、都会には食べ物が豊富にあるし、人からごはんをもらえるので、狭い行動範囲でも生きていけるということでしょう。

ヒゲのおかげで狭いところを通れる

猫はヒゲのサイズで入れるかをはかり、やわらかいヒゲで通れるかどうかを計測します。

狭い場所を通り抜けようとするとき、ネコはまず計測をします。この計測をするときに使うのが、目の上に伸びているひげです。

ネコのひげの根元は、体毛よりも深く体のなかに埋まっていて、周囲には神経細胞が集中しています。

そのため、ヒゲが何かに触れると、敏感に感知します。ネコはこのヒゲを使って、ヒゲが障害物にあたるかどうかで、狭い場所を通り抜けられるかどうかを判断します。

障害物にあたった場合は、ムリだとなるわけです。ヒゲはネコの命綱。絶対切ってはいけません。

実際には、障害物がちょっとヒゲにあたる程度の広さなら通り抜けることができます。もともと胸の幅が狭く、前足を狭めて歩けば、狭い場所に入り込むことができるのです。

さらに弾力性のある背骨が動きを助けます。日々の生活に万能ヒゲが大活躍します。ちなみにヒゲは、口と目の上以外に、頬、あご、前足の裏側などにも生えています。

ネコはこの敏感なヒゲによって、風向きを知り、獲物のにおいがする方向を正確につかみます。

狩りの際、木々の間を駆け抜けても、異物がヒゲに触れただけで目は自然と閉じられ保護されます。

獲物を捕まえた後には、ヒゲによって獲物がまだ息をしているかどうかを察知できます。「ネコが顔を洗うと雨が降る」といわれますが、一説にはヒゲに湿気がつくことでヒゲに張りがなくなり、神経に触れるためだともいわれます。

また、興味のあるときにはヒゲが前に倒れたりして、感情まで表現できます。だからネコのヒゲはとても大切です。決して切ったりしてはいけません。

ボス猫はどうやって決まるのか?

絶対的権力を持つボス猫

ホームレンジ内でケンカが強く去勢していないオスがボスになります。ボス猫にはゆっくりごはんを食べる権利があります。

群れで生活するイヌと違って、猫の社会では細かい上下関係が決まっているわけではありません。とはいえ関係性が常にころころかわるというわけでもありません。

もし猫同士の関係が常に流動的なら、ごはんや居場所を確保するために毎日のようにケンカをしなくてはならず、それは猫にとっても大変ストレスがかかることです。

だから猫社会でも、ボス猫を中心にして、なんとなくゆるやかに序列が作られています。ボス猫の地位には多くの場合、ホームレンジ内で‐番ケンカが強くて、去勢されていないオスがつきます。

ボスにはごはんを1匹でゆっくり食べる権利や、好きな休憩場所を選ぶ椎利などがあります。でもそれも絶対的なものではありません。

ボスがいないときには、ほかの猫がボスのお気に入りの場所で日向ぼっこをするといった場面もしばしば見られます。

繁殖についても、ボスがメスを独占できるわけではなく、ほかのオスも自由に恋愛することができます。

ボス以外の地位はほぼ平等です。ボス以外の猫は、基本的には平等です。陽のあたる窓際で寝る優先権は茶トラの猫が持っていて、ソファに渡る優先権は黒白猫が持っているというふうに、上手に共存しています。

ただし、なかには、ほかの猫から攻撃されてばかりいて、居場所を持つことができない弱い猫もいます。こうした猫は、飼い主の保護が必要となります。

なぜ猫同士駐車場に集まりたがるの?

猫の夜の集会の不思議

ホームレンジが重なりあう都会猫たちの社交場です。夜な夜な集まり、散っていく「猫の集会」という言柴を聞いたことがあるでしょうか。

夜になると、駐車場や公園などの広場にどこからともなくたくさんの猫が集まってくるという現象です。

集会といっても、ほかの猫と2〜5メートル程度の間隔を開けて、ちょこんと座っているだけです。

通常、猫は、ほかの猫が近づいてくると警戒心を露わにするものですが、集会のときにはケンカは起きません。

ときどき気の弱い猫が、自分に近づきすぎたほかの猫にうなり声をだすぐらいです。

なかには2匹で体を寄せあい、毛づくろいをしている猫もいます。でもそれだけのことで、しばらくすると猫はそれぞれ我が家へと、あるいはどこかへ消えていきます。

集会は、主に都会猫たちに見られ習慣で、それぞれの猫のホームレンジが重なりあう場所で開かれます。

おそらくそのエリアにどんな猫が何匹住んでいるのか、確認するためにおこなわれているのでしょう。

新参者を見つけ、侵入を防ぐ役割も

こうしてメンバーをチェックしておけば、昼間すれ違ったときにも、いつも集会に参加しているとわかります。

逆にそのエリアに外部からの新参者があらわれたときには、知らない顔だとすぐに気がつくわけです。

新参者はエリアの秩序を乱す危険があるため、侵入を防ぐ必要があります。こうして見ていくと猫の集会は、人間でいう町内会のようなものかもしれませんね。

人間が町内会を通じて自治活動をおこなっているように、猫も猫なりに夜の集会によって地域の安定をはかっているのでしょう。

町ではホームレンジが重なる視界の開けた空き地で交流を持つ。たいてい公園、神社、駐車場などがそれにあたるわけです。

喧嘩のきっかけ

メスの奪いあいがもっとも多い

若猫が武者修行で喧嘩することもあるということです。田舎より都会のほうが、喧嘩は頻発しています。喧嘩をする機会が多いのは、圧倒的にメスよりもオスです。

猫の社会は母系社会で、オスでも子猫の間は、母猫や母の姉妹のおばさん猫に育てられます。しかしオスの場合、性的に成熟するとその社会を出て行かなくてはいけません。

そこからオスの喧嘩三昧の日々が始まります。猫にはそれぞれ自分の生活の場(テリトリー/ホームレンジ)があり、その場所を守って生きています。

母猫の元を離れた若猫が自分のテリトリーを確保するには、先輩猫と喧嘩をしながら認められるしかありません。

若猫は最初、経験豊富な先輩猫に何度も敗れます。やっと喧嘩に勝ったとしても、今度は後輩猫の挑戦を受けることになります。

こうした喧嘩の頻度は、猫の数が少ない冊舎よりも、当然都会のほうが多くなります。成熟したオスは仲間に追い出され、放浪した先のオスと喧嘩、あちこちで喧嘩を挑み続け流のです。

オスたちに認められ仲間入り

もっとも喧嘩が盛んなのは交尾のシーズン
もっとも激しいのは、交尾期のオス同士の喧嘩です。交尾期になると、オスは自分の生活の場を離れて恋人探しの旅に出ます。

そして旅先でライバルに遭遇し、1匹のメスをめぐって争いがはじまるわけです。お互いに自分の生活の場ではない旅先での対決ですから、条件はほぼ同じです。

互角の戦いが展開されることが少なくありません。ちなみにメスも、ごはんや生活の場をめぐって喧嘩をします。特に子育て中に身の危険を感じたときは、子猫を守るために必死に戦います。

オス同士、メス同士に愛は?

基本的に恋愛はない

ストレスがたまるとのしかかることがあります。交尾がかなわないときに異性に見立てることがあります。

猫にとって、性の対象は基本的には異性です。しかしオスにせよメスにせよ、交尾期なのにまったく相手に恵まれないという状態が続いたとき、同性愛的行為に走ることがあります。

オス同士の場合でもメス同士の場合でも、どちらか一方がオス役を、もう一方がメス役を演じます。同性ですからペニスを体に挿入するようなことはありませんが、本物の交尾と同じように、オス役がメス役の首筋を噛み、体にのしかかります。

狭い空間などで優位性を示す

マウンティングもこうした行為は、お互いの合意のもとにおこなわれるのが一般的ですが、狭い橋のような特殊な空間に2匹が閉じ込められると、異常な行動が起こることもあるようです。

襲うのはその空間をテリトリーとして守ってきた猫で、襲われるのは新参者として入ってきた猫です。

この場合は、あくまでもストレスがたまったときのイレギュラーなもので、性衝動というよりも優位性をしめすために相手にのしかかるマウンティング行為です。

ちなみに、猫はマスターベーションのようなこともおこないます。交尾期のオスは勃起した自分のペニスをさかんになめます。

部屋で飼われている猫の場合、ぬいぐるみやクッション、衣服などのやわらかいものを代用品にして、自慰行為をすることがしばしばあります。

自慰行為は発情中の猫ばかりでなく、去勢した猫にも見られる現象です。

相性はにおいで決まる

メスは交尾の相手を選ぶとき、においを基準にするという説があります。自分とはにおいが異なり(つまり近親交配の可能性がなく)、健康なにおいのするオスを選ぶのではないかということです。

猫は狩りをする動物

縄張りを主張するオス猫

猫の生活範囲には、自分だけの縄張りであるプライベートエリアと、ほかの猫も出入りできるハンティングエリアの2つの縄張りがあります。

外部からの侵入がないプライベートエリアでは、猫はゆったりとくつろいだり、眠ったりすることができます。

そこで、オス猫は臭いの強い尿をまき散らして、自分の縄張りであることを主張し、ほかの猫が入り込むのを嫌がるわけです。

恋の季節になってほかの猫が迷い込んできたりすると、猫同士で激しいけんかを始めますから。

ハンティングエリアは、獲物を追いかけ、ほかの猫と交流や交配を行う、コンタクトの場所になります。

このエリアは非常に広く、放し飼いの猫では半径500~1000mにも及ぶといわれています。

このエリア内で猫たちは仲間の集団をつくり、真夜中になると、近くの公園や神社などで集会を開くのです。

家の中で飼われている猫の縄張り

家の中だけで飼われている猫は、自分のトイレのほかに、たんすの上、冷蔵庫の上、床の間やベッドの上などをプライベートエリアにしています。

このように猫は「何かの上」という場所を好みます。また、室内の柱や壁などに顔をこすりつけて、自分の臭いをつけ、縄張りの確認をします。

成熟したオス猫は、自分の縄張りを主張するために、室内のあちこちに尿をまき散らしますが、これは本能に基づく行動なので、去勢手術をしないかぎり、やめさせることはできないのです。

二次的な対策としては換気扇をつけて臭いを部屋にこもらせない、猫専用の消臭剤で臭いを消すなどの方法があります。

スプレーや爪とぎで自分の縄張りを主張

性成熟したオス猫は、自分の縄張りを誇示するために、周囲に尿をまき散らしてマーキング(しるしづけ)を行います。こうした行為をスプレーといいます。

ただし、去勢した猫はホルモンバランスが崩れて臭いが弱くなるため、縄張りを主張することはできません。

猫は柱や畳、じゅうたんなどに爪をこすりつけることによっても、縄張りを主張します。
見知らぬ猫同士が出会うと、たがいに肛門の臭いをかごうとして、時には激しい闘いになります。負けた猫は、うずくまって自分の臭いをかがせます。

縄張りをめぐるもめごとや発情中のメス猫の取り合いなどを除いて、猫同士が争うことは、ほとんどありません。

猫のあいさつの方法

猫のあいさつは、とても簡単です。同じ集団内の猫であれば、鼻と鼻をくっつけ合ったり、体をこすりつけたりします。

猫同士のコミュニケーションのひとつに、夜の集会があります。公園や空き地などの広場が集会所として使われるようです。

近所の野良猫や放し飼いの猫が集まり、何かの相談をしているようにも見えますが、特別の目的はないようです。

人間界の名刺交換ならぬ、猫たちの臭い交換会とでもいったらいいでしょうか。たがいに一定の距離を保ちながら、集会は明け方まで続くんですよ。