犬の心理、群れの中の主従関係から離れる分離不安、しつけの成否にも

寂しくて飼い主と離れられない

リーダーへの依存心

依存心の強さに比例するようです。飼い主との別れは世界の破滅だとも思うようです。ひとりぼっちは、不安で不安でたまらないわけです。

犬はもともと群れで生活する動物、1頭でいると不安になるのがふつうです。とくに依存心が強い犬は、飼い主が外出すると、不安がつのって、むだぽえをしたり暴れたり、おしっこをしたりするなどの問題行動を起こします。

これを「分離不安」といいます。寂しさのあまりに、強いストレスを感じている状態です。何度か経験すれば、耐えられるようになるのが普通です。

分離不安の原因は、多くの場合、飼い主が犬を甘やかしすぎることです。飼い主との関係が密接になりすぎると、離れたときに犬が感じる不安も強くなります。

ベタベタしすぎず、それでいて、心のきずなは結ばれているような距離感が理想的です。

子犬のうちは、飼い主が長時間外出をすると、犬はパニックになってしまいます。短い時間ですぐ家に戻りましょう。

飼い主はかならず戻ってること、留守番は特別な事件ではないことを、少しずつ犬に体感させてあげることが大切です。

不安を感じないよう遊び道具をあげます。犬が留守番をして不安につぶされそうになるのは、飼い主の外出後、約30分以内といわれています。

長時間遊べるおもちゃを用意して、寂しさを感じるヒマを与えないようにすると、効果があります。たとえば穴があいていて、中にドッグフードをつめられるおもちゃがあります。犬はフードをとることに気がまぎれ、楽しく留守番できます。

犬の社会は縦社会

平等はありえない

犬社会は上下関係を大事にする縦社会です。犬を多頭飼いしている家庭で注意しなければいけないのが、大の順位なんです。

全体のリーダーはもちろん飼い主ですが、犬の間には順番ができています。どんなことも、上位の犬を優先しておこなわなければいけません。

平等では、先輩犬の面目丸つぶれです。上位の犬は、ごはんやおもちゃを下位の犬よりも先にもらい、飼い主のそばに陣取って寝ます。

「年上なんだから譲りなさい」という気持ちは犬には通じません。上位の犬にがまんをさせると、ストレスを感じ、自分の地位を誇示するために、下位の犬を攻撃することにもなりかねません。

通常は、先輩の犬、大型犬、オスが上位になりますが、小型犬やメスであっっても、気が強ければ上にいく場合があります。

無用な小競り合いをさせないためにも、飼い主は、犬が決めた犬同士の序列を把握しておくことが必要です。

犬づきあいは公平じゃなくていいんです。人間は手を出さないでください。犬同士がケンカをするのは、序列が乱れた場合です。

人間が下位の犬をかばう行動をとると、上位の犬は納得できません。ケンカがどんどんエスカレートして、大ケガをすることになりかねません。

犬同士で序列が決まれば、ケンカはしなくなるものです。いじめのように見えても、出血するようなケンカに発展しないのであれば、無視して、犬同士で決着をつけさせましょう。

人と同じ、優しい犬がいい

誰にでもほえる理由

警戒してほえるか、寂しくてほえるのがほとんどです。犬がほえると、怒ってると感じるかもしれませんが、誰かを攻撃したくてほえている犬は、あまりいません。

テリアやコーギーのように、高揚した気持ちをほえることで表現する犬もいますが、怒りんぼうとは違います。

ほえる理由はほとんどの場合、警戒心から相手に警告を与えているか、寂しくて自分に注目してほしいか、どちらかです。

臆病な犬や、寂しがりの甘えんぼうの犬が飼い主を待ちこがれてほえていることが多いといえます。

寂しがりの犬は、飼い主と離れると、つらくてほえます。依存心の高い、甘えんぼうの犬に多く、犬種による違いもありますが、多くは飼い主の接し方に問題があります。

また、ほえればかまってもらえるとか、ほえれば要求が通ると学習した犬は、ほえることによって、飼い主の注意を引き、自分の主張を通そうとします。

おおらかでおだやかな性格に育てたい

ふれあいに慣れているから、人や犬が怖くないのです。どんな人や犬と会っても、ほえず騒がず、落ち着いている犬がいます。

しかし、そういった犬がみんな、生まれつきおだやかな性格だったわけではありません。その落ち着きは、経験によって得たものといえます。

犬の性格には、犬種によって個性があります。たとえばラブラドール・レトリーバーは、おおらかで楽天的な性格をしているため、ほかの犬や人を怖がらない犬が多いです。

しかしそれでも、子犬のころにほかの犬や人とふれあった経験がなければ、なつこい犬にはなりません。

反対に、警戒心が強い犬種でも、経験をつめば、相手も恐れず、友好的にふるまう犬に成長します。

散歩の機会が少ない、人に会わないなど、ほかの犬や人と接触するチャンスが乏しい環境で育てられた犬は、臆病な性格になりがちです。

たとえば小型犬だからといって、飼い主がほかの犬から過剰に守ろうとしたり、他人に触らせないようにしていると、犬が飼い主一家以外のすべての生き物を怖がるようになってしまうこともあります。

飼い主にあまりにも大事にされて、「箱入り娘」のような育てられ方をした犬が、対人対犬恐怖症のようになってしまうことをケンネル症といいます。

ケンネルとは、鶏を意味する英語です。文字通り、犬舎つまり犬小屋の中だけで暮らしていては、犬は健全な精神を得ることができないことを表しています。

犬の気持ちの寄り添うことも大切

雷雨や風雨は、本能的に怖い

敏感な犬は音を怖がって、パニックになるんです。雷や風の音だけでなく、花火も怖いようです。

雷がきらいな犬はたくさんいます。敏感で臆病だから、雷鳴を怖がるといわれていますが、原因はそれだけではありません。

それは、本能で危険を感じとっているとする説もあります。また、気圧の変化、大量に降り続ける雨水の音も関係しているのかもしれません。

雷と同じものに聞こえるのか、打ち上げ花火だけを怖がる犬もいます。人間が騒ぎだすと、よけいに興奮していしまいます。

雷が近づくと、犬は物陰にかくれたり、ハーハーと息づかいが荒くなったりします。恐怖が頂点に達すると、おもらしをしたり、家の中を引っかき回し、網戸を破くほどパニックになることもあります。

これらは恐怖心からくる行動です。飼い主が大声で怒ったり、なだめたりしても、耳に入らないばかりか、よけいに興奮してしまいます。

飼い主が落ち着いて対応する

雷も花火も怖くてたまらないのです。では、その音が怖くないことを教えることは可能でしょうか。

まず、雷や爆竹の音を録音し、小さな音で聞かせます。そして徐々に慣らしていく方法があります。本能的に嫌がるものなのですが、根気よくしつければ克服できます。

また、大きな雷鳴を聞かなくてすむように、外飼いの犬は家の中に入れ、室内飼育の犬はテレビをつけたり音楽を流して、少しでも音をシャットアウトしてあげます。

新しい飼い主にとけこむ

犬にも気苦労がある

社会化の時期を失してしまい、「うちの犬は成犬だからもう変わらない」と、あきらめていませんか。

少々出遅れたのは事実ですが、犬は大人になっても好奇心をもち、学習できる動物です。

子犬ほど順応性はなくても、時間をかけて少しずつ慣れさせていけば、十分に学習できます。年齢や性格によって苦労の度合いはさまざまです。

子犬のうちなら、すんなりとけこめる

生まれた家で、そのままずっとすごせる犬はごくわずかです。最初に話をしてくれた人間や犬、きょうだいとの別れは、子犬にとって人生最初の試練といえます。

しかし、新しい家族のもとへ行くのは、生後3カ月前後のことが多く、その時期であれば、まだ弊戒心や恐怖心が少なく、順応性の高い「社会化期」です。数日もすれば、新しい環境に慣れます。

飼い主が変わるのは大変

成犬になって、もとの飼い主と死別したり、災需などの事情で離ればなれになってしまった犬の悲しみは、計りしれません。

もとの飼いj具とすごした時間の長さや、犬の性格にもよりますが、いすれにせよ、リーダーが急にいなくなることは、犬にとって理解できないことです。

心の傷はかなり深いはずです。とくに、臆病な犬や、飼い布に依存していた犬の場合、新しい家庭になじむのは、簡単ではありません。

とけこみやすくする方法は

こまやかに大事に世話することです犬は、何歳になっても学習できる動物です。成犬でも、時間はかかっても、心をこめて愛情を注いで、信頼関係を築いていけば、その気持ちを犬はかならずわかってくれます。

神経質でシャイな犬でも、こまやかに世話をしていけば、半年もたたないうちにあなたに慣れ、よき愛犬になるでしょう。

体格で性格が決まるわけではない

小型犬だからといって恐がりではない

体格によって性格が決まることはありません。小型犬に先入観をもってしまうのはなぜでしょう。

犬の性格は、遺伝と環境からつくられます。小型犬にはシャイな犬が多く見られる気がするかもしれません。

それはサイズの問題ではなく、子犬時代に社会化のチャンスを与えられたかどうかの違いなんです。

小型犬は「小さいから守ってあげなくちゃ」という先入観をもつ飼い主が多いようで、他の犬や人、車などにふれて、社会勉強をする機会を奪ってしまいがちだそうです。

そうして過保護に育てられた犬は、怖がりになってしまいます。

怖がりの犬種と、そうでない犬種

ドーベルマンは番犬として選択繁殖されてきたため、敏感で警戒心が強い犬種です。反対にラブラドール・レトリーバーは、人間と共同作業する仕事柄、おおらかで天真爛漫です。

このように、犬種ごとに性格の傾向を知ることはできますが、それも個体差があり、陽気な犬もいれば、静かな犬もいるわけです。

小型犬には守ってあげたくなるような印象がありますが、小型でも気丈な犬種は数多くいます。逆に大型犬であっても、社会勉強をしないと、臆病な、気弱な性格になります。

飼い主の考え方が犬にうつる

群れ意識で、いつも周囲を気にしているオオカミ時代のなごりで、犬はほかの仲間の行動をよく観察し、真似をすることによって、協調性を保っていこうとします。

オオカミでは1頭が遠吠えをすると、ほかのオオカミも同調して、ほえ出します。犬も同じです。

公園で複数の犬が遊んでいるときに、1頭がなにかに気づき、警戒したら、ほかの犬も同調して同じ警戒態勢をとります。

犬にとっては、人間の家族も大切な同じものに気をひかれる群れの仲間です。犬は優れた観察力で飼い主の行動を見ていて、心情までも感じとってしまうのです。

もしも、飼い主がイライラしていたり、落ちこんでいたら、犬はすぐさまそれを察知し、自分も緊張します。

また、たとえば暗闇で物音がしたときに、飼い主が「怖いっ」と思うだけで、犬にはそのあせりが伝わるそうです。

飼い主のイライラは、犬にも悪い

飼い主が神経質な人で怒りっぽく、いつもイライラしていたら、同じ群れの一員である飼い犬も、いつも緊張していなくてはならなくなります。

飼い主の緊張感やいらだちが伝わってしまうので、犬は心が休まりません。そうしたストレスがつもりつもって、犬を神維質な性格にしてしまうこともあるそうです。

いうことを間かないのは飼い主を甘く見てるから?

飼い主がたよりなく、リーダーとして認められていない

リーダーにしたがおう、という気持ちは、犬なら誰もがもっているのです。犬は本来、いちずに飼い主=リーダーを信じるものです。

飼い主のことをリーダーと決めたら、どんなときも信じてしたがいます。裏切ったり、嘘をついたりすることは、けっしてありません。

リーダーのもとに、一致団結して獲物をとるなど、群れでならしたオオカミ時代の習性が、現代の犬たちの心のなかにも残っているからです。

オオカミのうち、人と共同生活をするようになったものたちが、犬の祖先です。彼らは食べ物に困ることなく、安全に眠る場所を約束されたため、飼い主である人間に100%の信頼と愛情を寄せました。

また、野生のオオカミと違って、成長しても幼児性を残すようになりました。そのため、犬は成犬になってもよく遊び、子犬のような甘えんぼうの部分をもち続けるのです。

聞き分けのよくないのは、あなたがたよりないからです。最近では、飼い主にうなったり、かみついたりする犬が、残念ながら増えています。

神経質な性格のためにこうした態度をとる犬もいますが、飼い主がたよりなく、リーダーとして認められていないと、主人のいうことにしたがわなくなります。

飼い主が強い意志をもたず、日によって意見が違ったりするような、信頼できない場合には、犬は自分をたよりにしなければなりません。そうなると犬の自己主張や攻撃性が強くなってしまいます。

犬にとって、飼い主はどんな存在?親?恋人?

飼い主は親代わりであり、リーダーでもある

犬には親心をもって接するのが理想です。母犬をしたうような気持ちで飼い主をたよってきます。

そして成犬になっても子どもっぽく甘えてきたり、遅い時間になっても飼い主の帰宅を毎晩かならず出迎えてくれたりします。

このように従順なふるまいをするのは、飼い主のことを母犬のように思っているからです。

とくに生後7~13週齢は、母犬に代わるリーダーを受け入れる時期です。この時期は母犬のもとを離れ、新しい家族に引きとられるときです。

そのとき手厚く世話をしてくれる相手にたいして、子犬は信頼を寄せます。

飼い主に恋心を抱くことはありません。愛情いつぱいに飼い主をしたう犬は、とてもかわいいものです。

その愛らしさや信頼感を見て、愛犬のことを相思相愛の恋人のように感じる場合があります。しかし、あくまでも犬は犬です。

犬には飼い主をとられたくないという独占欲はあっても、それは恋心からくる嫉妬心とは違います。

犬にとって飼い主は、恋人ではなく、自分を守ってくれる大切なリーダーなのです。

しつけられた犬ほど可愛い

飼い主をリーダーだとわからせるのがしつけ

群れで生きる動物にとって、食餌の順番は群れのなかでの順位を示します。犬に対して飼い主がリーダーシップをとるためには、ほしがるからと先に犬に食べさせたり、食卓からものを与えたりしてはいけないんですね。

それを守らずにいると、次第に犬は飼い主をリーダーとして認めなくなってしまいます。そして、挙げ句の果てに、食卓に足をかけたり食餌をねだって吠えたりとマナーが悪くなってしまうわけです。

では基本的なしつけのみちすじはどうなっているのでしょうか。

1.「ヨシ」と「イケナイ」を教える

食餌を食べるときは、必ず飼い主が「ヨシ」と指示してから食べさせます。盗み食いをしようとしたら、すかさずリードを引いて「イケナイ」と叱ります。

もし、持っている食器にとびつこうとしたら、瞬時に、リードを引いて「イケナイ」と叱ることが重要なんです。

2.「スワレ」の言葉と姿勢をわからせる

スワレを教えたい犬に「スワレ」を理解させるためには、「スワレ」の言葉と姿勢を教えなければいけないんです。

まず、犬に「スワレ」と繰り返し声をかけ、同時に手で腰を押したり、おやつを使うなどして「スワレ」の姿勢をとらせます。

「スワレ」の姿勢をとらせたときに、すばやく「スワレ」といいます。そうすれば、犬は「スワレ」という言葉と、座るという動作を結びつけるようになるでしょう。

3.おやつを使って「スワレ」を練習する

犬にはあらかじめリードをつけておきます。犬の名前を呼びながらおやつを見せて、犬を真正面に呼び寄せます。

おやつを鼻先に見せ、犬が興味を持ってかぐようにします。おやつを持ち上げ、「スワレ」の姿勢をとらせるおやつを上に上げ、大きな声で「スワレ」といいます。

犬は目でおやつを追って頭が上がり、腰が下りるので自然と「スワレ」の姿勢になります。リードを引き上げて手助けしてもよいでしょう。

「スワレ」の姿勢ができたら、体勢を崩さないうちに「よくできたね」とほめ、そのあとでごほうびのおやつをあげるわけです。

4.おやつなしでもできるようにする

最終的には、おやつをあげないで言葉に反応させることが犬と並んで立つおやつを使わないでできるように仕向けていきます。

まず、犬のわきに立ち、リードを短く、しっかりと持ちます。腰を押さえる「スワレ」といいながら犬の腰に手を当てて押し下げます。同時にリードをななめ後ろに引き上げ、座る姿勢に導くんですね。