猫の出産と命がけの子育て、子猫の行動の特徴、病気や怪我にも注意 | 悩むよりまず相談、明日への希望に!

猫の出産と命がけの子育て、子猫の行動の特徴、病気や怪我にも注意

忍耐強い母猫に感動する

いよいよ出産の始まり

陣痛の間隔が短くなってくれば、出産の始まりです。出産の時間は、猫によりまちまちですが、初産の場合は1匹分娩するのに約30分~60分と、いくらか長めになります。

出産のプロセス

1.陣痛が始まって30分~60分で子猫が産まれてくる。普通は頭から出てくるが、足から出てくることもある。
2.母猫の体内で子猫を包んでいた胎膜を母猫はすぐに破る。
3.母猫は子猫を包んでいた胎膜を舐め取る。この刺激で子猫は呼吸を始める。
4.へその緒母は猫がかみ切る。後産の胎盤を食べてしまうこともあるがこれは異常ではない。
5.母親が子猫を舐め終えると子猫は母親の乳首を探す。
6.1から5を繰り返して出産は終了する。

次に2匹目の子猫が生まれるまでの時間も、5~60分と一定していないので、飼い主は注意深く分娩を見守ってあげます。

母猫は、分娩と分娩との間に自分で餌を食べ、生まれたばかりの子猫にお乳を与えることもあります。分娩の途中で母猫を驚かすと、分娩が中断することもあります。

生まれる子猫は平均で4~5匹

猫の出産パターンは個体差が大きく、経験豊富なメス猫でも、出産にかかる時間は一定していません。

1回の出産で生まれてくる子猫の数は、品種や出産の回数、健康状態などで異なりますが、1~8匹、平均して4~5匹です。

猫の分娩を見ていると、人間ではとてもまねのできない忍耐力に、感心させられることがあります。猫は自分だけの力で、出産のすべてをこなします。

逆子が原因の難産などで、母猫が苦しがる場合を除き、人間が手を貸す必要はありません。

体の一部が出かかっているのになかなか出てこない場合は、飼い主による助産が必要になります。そのようなときでも、飼い主はけっしてあわててはいけません。

子猫の体をガーゼで包み、陣痛に合わせながらゆっくりと引っ張り出します。そのとき、はげましの言葉をかけてやることも、目に見えない助産になります。

逆子の出産でもほとんど心配ない

子猫が後ろ足から先に出る、いわゆる逆子も、猫の出産では珍しいことではありません。逆子でも正常に分娩されるケースがほとんどなので、母猫が元気なら心配することはありません。

同じ逆子でも、後ろ足よりお尻のほうが先に出る場合は、難産になることが多いようです。

子猫の世話を母猫がしないとき

母猫が、生まれたばかりの子猫のめんどうをみないことも、たまにはあります。こんなときはあわてずに、飼い主が母猫のピンチヒッターをつとめます。

子猫が、まだ胎膜をかぶっているなら、お胎膜を手で取り除きます。へその緒は、子猫のへそから4~5mのところを糸で結び、はさみを使って胎盤側で切り落とします。

子猫が息をしていないようなら、子猫を両手のあいだに入れ、頭を下にして上下に軽く振って、遠心力で鼻や口に入っている羊水を出します。

そのあと、体の汚れを落とし、タオルでよくぬぐって乾かしてから母猫にもどします。

子猫の人工保育する理由と離乳の時期

まず、室温を一定に保つ

母猫が子育てを放棄したときは、飼い主が子猫の世話をしなければなりません。子猫の人工保育で大切なのは、生活環境の整備と、ミルクを与える時間と回数を守ることです。

生まれたばかりの子猫は、自分で体温調節ができないため、生後1週までは飼い主のほうで、部屋の温度を調節してやります。

寒い冬は、産室の中に電気ヒーターを敷くなどして、子猫の体温を下げないような配慮も必要です。

猫用のミルクと排池の世話

ミルクは、必ず猫用のものを与えます。猫用ミルクを約50度の湯にとかし、40度弱にさましてから与えます。

母猫が近くにいる場合は、なんとかして一滴でもいいから母乳を飲ませてあげたいものです。

理由は、最初に出る母乳は初乳といって、栄養分だけでなく、子猫を病気から守る大切な免疫が含まれているからです。

ミルクを飲ませたあとは、排世の世話をします。やり方は簡単で、ぬるま湯に浸したガーゼなどで、お尻のまわりを軽く刺激してやります。

離乳を始めるのは生後1か月から

子猫の離乳は、生後1か月くらいから始めます。ちょうどこのころ、子猫の乳歯がほぼはえそろうからです。

離乳をスムーズに行うには、はじめミルクと離乳食を9対1の割合で混ぜて与え、徐々にその比率を逆転させていきます。

成猫用の缶詰やドライフードを、お湯でふやかしたものは、避けたほうが無難です。

生後8週で離乳は完了

離乳の意味は、子猫が自分で食事をすること、つまり餌をじょうずに口に運んだり、お皿をきれいになめたりすることを覚える、という点です。

子猫は日常の遊びの中でも、歯でものをかむことや、くわえることを学習します。

離乳が完了するのは、生後8週です。それに応じて、食事の回数も、このころまでに、1日4回程度に減らします。

それ以降生後6か月までは、1日に3回、決まった時間に餌を与えます。離乳の時期は、トイレのしつけを教え込む絶好のチャンスなんですね。

離乳の時期に注憲すること

消化能力が発達中のこの時期に、離乳に失敗すると、あとあとまで下痢や軟便を繰り返し、その結果として成長にも障害が出てきます。

子猫が離乳時期に下痢をする原因として意外に多いのが、牛乳です。牛乳には猫が消化できない乳糖を多く含んでいるので、牛乳を与えると、たちまち消化不良を起こします。

新しい飼い主捜しは生後2ヵ月から

子猫が生まれても、自分の家ではもうこれ以上育てられないといった場合、新しい飼い主を始めますが、子猫を母猫から離すのは、離乳が完了してからにします。

できれば、生後2か月までは母猫から離さないほうが無難です。また、新しく飼い主になる人が、子猫をかわいがってくれるか、病気になったら病院に連れていってくれるかなどを、必ず確認します。

譲り手としては、子猫を引き渡すまでに、トイレのしつけや予防接種をすませておき、引き渡し時には子猫が使っていたトイレの砂もつけて渡します。

また、一部の悪質な代行業者に利用されないためにも、相手の住所・電話など身元確認も忘れないことです。

子猫はどうしてとっくみあいばかりしたがるのか?

ケンカ、狩り、交尾の仕方など社会的なやりとりを学んでいる

子猫は成長するにつれ、遊びも複雑化していきます。生後3週を過ぎたあたりから、子猫は他の兄弟猫ととっくみあいをはじめるようになります。

もちろん本気でケンカをしているわけではなくて、子猫にとっては楽しい遊びです。遊びは、1匹がゴロンと仰向けに転がって、「遊ぼうよ」と相手を誘うところからはじまります。

するともう1匹は、相手の体におおいかぶさろうとすることで、この誘いに応じます。ときどき攻めるほうと守るほうの立場が入れかわって、何度も遊びはくりかえされます。

子猫同士の遊びは、やがてどんどん複雑になっていきます。仰向けになっている猫に、前足で猫パンチを繰り出したり、急所である相手の首に噛みつこうとしたり。

また、しのび歩きや横っ跳びなど、動きにもバリエーションが出てきます。こうした遊びのなかでおこなわれるふるまいは、狩りやケンカのときに必要となるものばかり。

遊びの中で学ぶ

子猫は遊びを通じて、将来に備えての予行演習をしているわけです。

生後5ヵ月を過ぎると、オスとメスの間で疑似交尾もおこなわれます。とはいっても双方ともまだ性成熟していませんから、あくまでも真似事に過ぎません。

子猫同士ですが、オスがメスにのしかかり、メスがそれをイヤがるといった光景が見られるでしょう。

兄弟猫から引き離されて、飼い主のところに1匹でやってきた子猫は、新しい飼い主を遊び相手とみなします。

子猫は遊びが仕事ですから、四六時中走り回り、遊びを仕掛けてきます。飼い主はオモチャなどを使って、できるだけ子猫の相手をしてあげましょう。

猫はどのくらい昔のことまで覚えているか?

残念ながら、具体的な記憶は期待できない

猫がケージを見た途端に部屋中を逃げまわり、首根っこをつかまえられても最後の最後まで抵抗したとします。

これは、きっと1年前にケージのなかに入れられて動物病院に連れて行かれ、獣医さんから体のあちこちをさわられたときの辛い体験がよみがえってきたのでしょう。

でも猫が、あのときはケージに入れられて、ひどい所に連れて行かれた、というふうに、できごとを記憶しているとは思えません。

記憶ではなく、ケージに入れられたときに、何かすごくイヤなことが起きた、というふうに、快・不快として、過去のできことを覚えているのです。

猫の物覚えのよさは抜群

一度イヤなことが起きた場所には絶対に近づこうとしないものです。だから、いけないことをしたときはその場で叱る必要があるのです。

飼い主のなかには、猫が悪さをして時が経ってから、「さっきテーブルの上のお魚を食べたでしょう」と怒る人がいます。

でも猫には「さっき」という概念はありませんから、飼い主がなぜ怒っているのか理解できません。魚を食べたことさえ、記憶としてはもう消えてしまっているかもしれないのです。

したがって、猫が悪さをしている、そのときに怒らないと、そのことを快・不快として理解させることはできないわけです。

子猫を拾ったとき

気をつけることがいっぱい

野猫や捨て猫を拾って育てる場合、もっとも注意すべきは伝染病の有無です。猫エイズや猫白血病は、未だに完治の方法が見つかっていない病気です。

潜伏期間があるため、一見健康そうに見える猫でも、これらの病気にかかっている可能性があります。

必ず動物病院に連れて行き、検査を受けましょう。すでに猫を飼っている場合、検査結果が出るまでは先にいる猫との接触はもちろん、会わせることも避けたほうがいいでしょう。

外にいる猫がかかりやすい病気寄生虫による病気もあります。子猫ほど重症になりやすい感染症細菌やウイルスの感染が原因で生命に危険が及ぶこともあります。

腸炎や腹膜炎は特に注意猫エイズ(猫免疫不全ウイルス感染症)抵抗力が弱まり、複数の病気を併発◎口内炎、慢性鼻炎、結膜炎などが見られる猫エイズや白血病は完全な治療法がありません。

動物病院での検査が終わるまでは先にいる猫に会わせてはいけません。子猫をさわった後は必ず手を洗うことも大切です。

子猫の性別の見分け方

顔つきはどっちも同じようなもの

オスは生後2〜3カ月目で睾丸がふくらんできます。子猫の性別は、顔つきではわかりません。手がかりとなるのはおしりです。

オスの場合、肛門と性器の位置が2センチぐらい離れています。一方メスのほうは、この距離が1センチぐらいです。

つまり距離が離れているのがオス、近いのがメスというわけです。オスは生後2〜3カ月ぐらいになると、肛門と性器の間にある睾丸がふくらむので、すぐに判断がつくようになります。

オスとメスも、おとなになるにつれて違いが出るようになります。一般には、メスよりもオスのほうが大柄になります。

メスの体内で分泌おうたいされる黄体ホルモンは、攻撃性をおさえる働きがあるといわれており、性格的にオスは活動的、メスは穏やかな性格になることが多いようです。

もちろんこれは一般論で、例外もあります。生後2ヵ月過ぎると見た旨の違いもはっきりします。

去勢手術は性成熟の前が効果的です。オス・メスともに、おとなになれば性成熟を迎えます。子猫を望まない場合や、心の安定や健康、長寿のために、去勢・避妊手術をおこなうこともあります。

繁殖期のイライラ感やケンカを減らしたり、生殖器の病気を防いだりすることができます。メスは手術をすると発情がなくなります。

オスも同様ですが、性成熟後に手術をおこなった場合は、発情のスプレー行動が残ることがあります。

去勢をすると太りやすくなります。去勢された猫に肥満が多いのは事実です。一番の理由は食餌です。

性欲がなくなった分、関心が食餌に向かうというわけです。飼い主としては食餌の管理をしっかりとおこない、また十分な運動をとらせるよう心がけなければなりません。

出産の準備は早めにする

自宅で出産するのがいちばん安心

メス猫の妊娠期間はおよそ9週と短いので、あっという問に出産日は近づいてきます。

当日になってからあわてないためにも、妊娠中は獣医師と緊密に連絡を取り合い、出産予定日などもあらかじめきいておきます。

最近は動物病院に入院させる人が多いようですが、猫の出産は、自宅でも十分可能です。猫にとってはむしろ、住み慣れた自宅で分娩するのが、いちばん安心なのかもしれません。

出産場所に慣れさせておく

出産日が近づくと、母猫は部屋の中を歩きまわって、安心して出産できる場所を探します。

押し入れの中や机の下など、静かで多少薄暗い場所が、猫にとっては精神的に落ち着けるようです。

飼い主の目が届き、猫の出産にも都合のよい場所があれば、予定日の3週間前あたりから、猫をその場所に慣れさせておきます。産室もはやめに用意すると、安心して出産できます。

産室は手づくりで十分

産室は、市販のものもありますが、段ボール箱で簡単につくれます。中には猫の臭いがついたタオルなどを入れておきます。

段ボール箱は、猫が楽に横になれる大きさのものを選びます。また、大きくなったお腹がつかえないように、箱の一部を切り取って、出入り口を設けます。

産室の底には、清潔な布やタオルを敷いて、生まれたばかりの子猫の体が冷えないようにしてやります。

出産時には、破水で箱の中が濡れやすくなるので、布きれやタオルは多めに用意したほうがいいでしょう。

あわてないで静かに見守ろう

分娩が始まりそうになると、母猫は落ち着きがなくなって、さかんに産室の布や新聞紙を手でかき集めます。時には鳴き声もたてます。

体温が下がってくれば、分娩は間近です。このとき、飼い主は誰でも気が動転し、猫以上にそわそわしてしまいます。

あまりこまめに猫の様子をうかがうと、陣痛が弱まったり、とまったりすることがあります。

飼い主は脇で静かに見守り、優しい言葉ではげましてやりましょう。かかりつけの獣医師に連絡しておけば、難産のときも安心ですね。