いつもとちょっと様子が違うとき
早めに異常を見つける
猫を長年、飼っていると、様子がいつもとちょっと違うなと感じることがあります。漠然としてはいても飼い主の直感は鋭いものです。
どこか体調を崩している場合は、症状がはっきりしなくても、なんとなく元気がないとか、反応が少し鈍い、歩き方が変だといったことに気がつきます。
病気をできるだけはやく発見するためにも、日ごろから、自分の飼っている猫の正常な状態を知っておくことが大切です。
猫の動きや反応は、直感的な判断材料であるため、獣医師にうまく説明するのが難しい場合もあります。
しかし、体温、脈拍、呼吸数などは数字で表すことができるので、客観的に説明できる便利な材料となります。
病気になってから、うちの猫の平熱は何度だったか思い出そうとしても、間に合いません。常日ごろから、元気なときの状態を観察するとともに、体温、脈拍、呼吸数の正常値については知っておきましょう。
こんな症状がみられたらすぐ動物病院へ
いつもと猫の様子が違うからといって、あわてることはありません。少し体調を崩しただけかもしれないからです。
しかし、症状によっては、すぐ病院に連れていったほうがよい場合もあります。便、尿、目やに、鼻汁、吐いたものなど、猫が体の外に排泄したものは、動物病院に連れていくかどうか迷ったときの判断材料になります。
これらの排泄物に、いつもと違うものが混じっているときは要注意です。猫はよく吐きます。しかし、吐いたものに血が混じっていたりしたときは注意信号です。
便に血が混じる、尿に血が混じる、メスの陰部やオスのペニスから出血するといった場合も同様です。
これらのように、体に傷がないのに出血がみられる場合は病院に連れていきます。お腹に力を入れて少しずつ排尿する、呼吸が苦しそうといった症状も、自宅では手に負えない病気が潜んでいる可能性が大といえます。
体温の測り方
猫の平熱は人間より少し高く、38~39度あります。体温は体温計を肛門の中に入れて測ります。
肛門で体温を測られたことのない猫は、はじめのうちは抵抗するので、しっかりと押さえて測定します。子猫のうちから測定する習慣をつけておきます。
脈拍の測り方
成猫の心臓は1分間に100~160回打っています。子猫の場合は、それよりやや多い数になります。
猫がびっくりしたときや興奮したときも脈拍数は増えるので、安静時に脈を測るようにします。人の脈拍は手首あたりに触れて測りますが、猫の脈拍は内股のあたりに手を触れて測ります。
呼吸数の測り方
猫は安静時に1分間当たり20~30回、寝ているときで約15回、呼吸をしています。呼吸数は特別な器具を使わなくても、目で見て測れます。
呼吸の数だけではなく、呼吸のリズムや深さにも注目してください。正常なら呼吸のリズムは規則正しく繰り返されます。呼吸が苦しいと、回数は増加し、胸の表面だけが浅くふくれたりへこんだりします。