皮膚の異常
見つけやすい皮膚の異常
皮膚の異常は、意外と見つけやすいものです。なぜなら、毎日頭をなでてやったり抱いたりすることで、猫の体に触れる機会がたくさんあるからです。
皮膚の異常をチェックする際、いちばん大切なことは、異常があると思われるところに、かゆみや痛みがあるかどうかです。
かゆみや痛みがあれば、その部位になんらかの炎症がみられます。次に大切なのは、被毛につやがあるか、ひどく抜けているところがあるか、皮膚の表面に汚れやふけがあるかどうかなどです。
長毛種の猫では、毛をかき分けて観察しないと、異常に気づかないこともあるので、特に注意が必要です。
1か所だけかんだりなめたりするのは要注意
猫が体の一部分をがむしゃらにかいている場合、それがかゆみなのか痛みなのか、はっきりわからないこともあります。
猫は普段から毛づくろいをしますが、1か所だけをしょっちゅうかんだりなめたりしている場合は、その部分になんらかの異常があることが多いようです。
さらに皮膚病の症状で見落としてはならないのは、いつからその症状が現れたか、左右両側にできているかどうかなどです。
アレルギー性の皮膚病は、体の左右両側に現れ、カビなどの感染によるものは、左右どちらか一方に現れます。
目・耳・口の異常
目やにがたくさん出るのは結膜や角膜の異常
ひとみ健康な猫の瞳は澄んでいて、涙や目やにはみられません。涙と目やにが多く出るときは、慢性の結膜炎が疑われます。
猫は涙や目やにをふき取ろうとして、しきりに前足で目のあたりをこすります。かくまくけんかなどで角膜を傷つけると、目の表面が白く濁ってきて、猫は目を開けようとしません。翌日には、涙と目やにがひどくなるので、その部分を激しくかきむしったりします。
瞬膜が出てくるのは体に異常がある証拠
猫の目頭寄りのまぶたの内側に、3番目のまぶたとよばれる瞬膜があります。人の瞬膜は半月状のひだで、発達していませんが、猫では薄い膜状になっています。
目の病気のほか、神経系の異常、脱水が原因で瞬膜が出やすくなります。瞬膜の露出があれば、体に何か異常がある証拠です。
しきりに頭を振って耳をかきむしる
耳ダニが寄生したり、耳あかがたまってそこから細菌が感染したりすると、かゆみが激しいので、猫はしきりに頭を振り、後ろ足で耳をかきむしります。
その結果、皮膚の炎症や脱毛を起こしてしまいます。耳の中は赤く腫れ、黒っぽい耳あかが詰まっています。
このほか、外耳炎やけんか傷などがもとで、耳介が内出血を起こしてパンパンに腫れあがることがあります。
正常な猫の耳は、内側がつるつるしていて、臭いやべとつきがありません。耳の内側がざらざらしてきたり、臭いがきつくなってきたりしたら、耳道の異常が考えられます。
発見しにくい口の異常
ある程度おとなになった猫は、歯をいじられたり、見られたりすることを嫌がるので、口の中の異常は見つけにくいものです。
口臭がきつくて、よだれをたくさん垂らすことから、口の異常に気づくことが多いようです。
口臭が強く、よだれを垂らす
口臭が強いのは、歯槽膿漏のある老猫に多いようです。ウイルス性の伝染病にかかった猫が、口の中に口内炎などの炎症を起こすと、食欲をなくして、よだれをだらだら垂らすことがあります。
口内炎や歯肉炎、舌炎などは、その場所だけの病気と考えられがちですが、ほかの病気が原因で起こることが多いようです。