愛犬の本当の気持ちはわかるか
この家でくらせて幸せ
ある雑誌の調査で飼い主さんたちに「もしあなたの犬がしゃべれたら、なにを聞いてみたいですか?」とたずねたそうです。
すると、多くの飼い主さんが「私の家でくらして幸せ?」と答えたとか。
そんな話を聞いて、自分の家の犬はどうだろう、と考えてみました。でも、彼らにそのようなことを聞きたいとは思わなかったのです。
それは、答えが想像できるからです。きっと彼らはこう答えるでしょう。「まあまあね。でもぼくはあなたが大好きだよ」。
ふつうに飼って、特別なえさをあげることもないし、広い庭があるわけでもないし、大好きなえさを前に「待て」の号令はかかるし、仕事が忙しいときには、ろくに遊んでももらえないのにです。
そのときどきで彼らが不満に思うことはたくさんあることでしょう。それでも彼らが幸せだと思う確信にも近い感情があるんです。
築き上げてきたきずなに忠実
それは、お互いの中に築き上げられた、彼らとの「きずな」ということになるのでしょう。
きずなということばを言葉を広辞苑で調べてみると、「恩愛。離れがたい情実」と書いてあります。
しかし、この言葉にはもっと多くの意味がふくまれている気がしてなりません。あえて表現するならば、「かけがえのないつながり」や「言葉をこえた心のつながり」という感じでしょうか。
この「言葉をこえた」という部分が大切なのです。犬は、人間の言葉を話すことができません。科学的ではないと非難されるかも知れませんが、人間と動物の間に、「言葉をこえた心のつながり」が存在するような気がしてならないのです。
それではどうすれば、自分の飼っている犬ときずなを結ぶことができるのか。この質問に答えるのはとてもむずかしいと思います。
しつけやトレーニングも重要なもの
なぜなら「きずな」は実感するものであって、しつけやトレーニングで動物に教える、おしつけるものではないからです。
それでも「きずな」を築くうえで、犬の場合はしつけやトレーニングが重要な役割をはたすことはまちがいありません。
多くの飼い主は、犬に最低限のしつけやトレーニングをすることによって、すこしずつ「きずな」を築きあげていくと思います。
もし自分の家の犬が家中あちらこちらに排泄をしてしまったり、あなたが呼んでも近づいてこなかったりしたら、飼い主としてどう思うでしょう。
面倒ばかりかかって、かわい気がないと思ってしまうのではないかと思います。
犬が飼い主を慕って、じっと集中する姿をみれば、きっと飼い主は犬との「きずな」を実感することになるのです。
簡単なしつけやトレーニングが、その手がかりとなってくれるのです。