犬が見せる不安をかくせないようす

仲間を求める野生から続く思いとは?

犬が遠ぼえをするのは、寂しいから

野生のオオカミは、広い森林で暮らしていました。遠ぼえは、ほかのオオカミにメッセージを送ったり、自分の存在をアピールする声です。

犬が遠ぼえをするのも、先祖の習慣がいまも残っているためと考えられます。オオカミも犬も、群れで暮らす動物ですから、1頭だけで過ごすのは苦手です。

オオカミは1頭で閉じこめられると、必ずといっていいほど遠ぼえをするそうです。「ひとりぽっちは寂しいよ」と仲間を呼び求める、本能的な行動なのです。

飼い主の留守に遠ぼえをしたり、庭でつながれている犬が夜に鳴くのも、同じ気持ちでしょう。

また、合唱したくなる習性もあります。遠吠えの波長と似ているものに反応することもあります。

たとえば、パトカーや救急車のサイレン、ピアノやハーモニカなどの楽器の音などです。音楽にあわせて歌うように遠吠えすることもあるようです。

それを、上手だと褒めたりすると、犬は、音にあわせて鳴けば、喜んでくれる、と勘違いして、くりかえすようになります。

夜中に、そうした遠吠えをするのであれば、ほめないで、ひとりぼっちの不安をまぎらわすための方法を教えて上げるべきです。

ひとりで留守番は不安

犬をはじめ多くの動物は、なわばり意識をもち、野生動物は、基本的になわばりの中で生活をします。

食べ物を探すのも、安心して眠りにつくのも、なわばりの範囲内です。繁殖相手を見つけ、子育てもします。

つまり、なわばりは動物にとって、生きていくうえで非常に大切な、守るべきものなのです。それを侵されることは死活問題です。

生活の不安がなくなった家庭犬も、その本能は変わりません。家庭の番犬がほえかかるのも、飼い主の身や財産を守るためではなく、自分のなわばりへの侵入者を警戒しているのです。

犬には人間の常識が通じません。なわばりを、飼い主が所有している敷地だけではなく、家の前の道路をふくめた周囲、さらにふだんの散歩コースも、自分のなわばりと考えている犬もいます。

女の子よりも男の子のほうがなわばり意識が強く、範囲も広くなります。なわばりに入ってきたものは、人間でも犬でも侵入者として見なして、ほえかかります。

それは「なわばりだから入ってくるな!」と、追いはらおうとしている行動です。それでも近づいてくればかみつきますが、ほえて相手が遠ざかれば、それに越したことはありません。

よけいな戦いは、自分も傷つくかもしれないので、本当はしたくはないのです。警戒ぼえは、犬にとってはストレスのかかる仕事です。

ハウスを往来の見えないところに置いて、警戒心でピリピリしないですむ環境にしてあげるほうが、犬のためです。