猫科の動物の能力、習性に驚き
跳び下りても着地を失敗しない
猫科の動物は、平衡感覚が優れています。そのため、必ず足から落ちることができるのです。
そのとき、肉球、鍵爪が滑り止めになります。ネコは細い塀の上でも、平気で歩くことができます。これは抜群の平衡感覚をネコが持っているからです。
足場の狭い場所では、しっぽをまっすぐ後ろに伸ばしてバランスを保ちながら、重心を低くして渡り切ります。
また、汗腺が辿っている肉球と鍵状の爪が、すべり止めの役割を果たします。もし万が一、高いところから落ちることがあっても、ネコはその平衡感覚を利用して、必ずといっていいほど足から着地できます。
耳の中にある、平衡感覚を司る部分が、今自分の身体がどのような向きになっているかを瞬時に把握するからです。
後ろ向きに落ちる場合は、まず体を横に向けて、後頭部が地面にぶつかるのを防ぎ、身体全体をねじっておなかを地面に向け、4本の足を伸ばしながら着地します。
このとき肉球は、衝撃をやわらげるためのクッションの役剤を果たします。それだけではありません。ネコの骨盤は丈夫で軽く、安定しています。
そのため落下中に身体を回転させる運動を、なめらかにおこなうことができるのです。身体全体にまんべんなくついている筋肉も、ネコの運動能力を支えています。
ただし、いくらネコといえども、4階以上のビルから転落した場合は、命に関わる大ケガを負うことになります。
中高層階以上のマンションでは、ベランダに防護ネットを取り付けるなどの配慮をしたほうがよいでしょう。
しとめたスズメの死体をわざわざ見せにくる
飼い主のことを、狩りのできない手のかかる子ネコだと思っているからです。狩りは本能、ただし教わっていないと食べられません。
ネコは飼い主に対して、子ネコ気分になったり母ネコ気分になったりします。甘えた声で寄ってくるときは子ネコ気分です。
一方母ネコ気分のときは、外で捕まえたスズメやネズミの死体を、家に持って帰ってきたりします。
子ネコは狩りの仕方を母ネコから教わります。赤ちゃんネコは、まだ母ネコといっしょに狩りに出かけることはできません。
そこで母ネコは、とらえて殺した獲物を巣のなかに持ち帰り、まず自分で食べてみせます。
次に獲物を子ネコに食べさせます。さらに生きた獲物を持ち帰り、子ネコ自身にしとめさせるのです。
最後は実地訓練。いっしょに狩りに出かけます。しかし、ペットネコの多くは母ネコに狩りの仕方を教わっていません。
本能でしとめられても、その後どうしたらいいのかわからないのです。スズメのおみやげは家族だと認めている証拠です。
しとめることで狩猟欲求を満たした後、今度は母ネコ気分になるのでしょう。ネコにとってあなたは、狩をしたことのない子猫のように見えるのです。
獲物のしとめ方を教えてやると、スズメやネズミを家に持って帰ってくるわけです。ちなみにこういう行動をとるのは、避妊手術を受けたメスが多いようです。
そんなネコの様子を見て、あなたは怒ってはいけません。猫は教えてやっているのに、と思っていることに水を差すことになります。
さすがにネコのおみやげをおいしくいただくというわけにはいきませんが、やさしく感謝の気持ちをしめしましょう。