シャムの毛色は気温によってかわる
暑い時は白く、寒いとより黒くなる
シャムの原産地は、シャム、今のタイです。19世紀末までは、タイの宮殿や寺院でのみ飼われていた門外不出のネコでした。
確かにシャムには神秘的な要素があります。それはシャムの毛色が、生きているうちにどんどんと変化していくことです。
こんなことはほかのネコでは考えられません。渦巻き棋様で生まれたアメリカン・ショートヘアは、一生渦巻きのままです。
生まれたばかりのシャムは、全身が真っ白です。それがおとなになる間に少しずつ、鼻や耳、しっぽが黒くくなっていきます。
しかも興味深いのは、気温によって色のつき方に違いが出るということです。寒い環境で育ったシャムは、耳やしっぽだけではなくて全身が黒くなります。
反対に暑い環境で育ったシャムは、黒くなる部分がほとんどなく白ネコのままです。
原産国タイ
14世紀から秘宝として珍重
体の色の変化はシャムの毛の色素の量が関係しています。皮膚の温度が低いと色素の量が増えて黒くなり、高いと色素の量がかわらないために白いままというわけです。
シャムの体のなかでも鼻や耳、しっぽなど体の先端部分が黒いのは、その部位の体温がとりわけ低いからです。
19世紀末に、タイからイギリスにやってきたものの、当時のシャムは気温の変化にとても弱かったようです。
最初に連れて来られたシャムのつがいは、熱帯のタイから、湿気が多く寒さの厳しいイギリスへと渡ったために、気候があわず死んでしまったといいます。
現在のシャムは改良の末気候の変化にも対応できるようになりました。そして、だんだんと体全体が黒ずんできます。これは体温が少しずつ下がっているためです。
スフィンクスはなぜまったく毛がないのか
突然変異で生まれた無毛のネコ
1966年カナダで突然変異により毛のないネコが生まれました。これを種として固定しようとしたのが、スフィンクスです。
それ以前にも毛のないネコの存在は知られていましたが、繁殖には成功していませんでした。毛がないといっても、子猫のときには全身が毛におおわれています。
しかしおとなになるにつれて無毛に近くなり、顔や耳、背中、足、しっぽに短い産毛が生えているだけの状態になります。
ヒゲもありません。生えていてもとても短いものです。肌の色は、白や黒、青や茶色などさまざまです。大きな目と耳が特徴的で、体や顔にはしわがあります。
ただ現在でも繁殖の過程で、毛のあるネコが生まれることがあるようです。「毛がないなんて、なんだか寒そう」と思われるでしょうが、まったくその通りです。
肌にもそれほどの厚みがあるわけではなく、スフィンクスは寒さを大変苦手にしています。また毛がないため皮膚が傷つきやすく、直射日光も避けなければなりません。
ですからスフィンクスを飼うとすれば、室内飼いにする必要があります。
人なつっこくて、愛情表現が豊か
普通ネコといえば、ふさふさのやわらかい毛と、毛におおわれた愛くるしい顔がトレードマークであり、多くの人はそれを「かわいい」と感じます。
スフィンクスの容貌はその基準からはかなりはずれていますが、性格はほかのネコと同じです。人なつっこくて、愛情表現が豊かです。
飼い主の近くに存ってきてはl甘えたがります。特にネコの毛アレルギーでネコ好きの人にとっては、ネコでありながら毛がないスフィンクスは、とてもありがたい猫なのです。
ペルシャネコの顔がつぶれているのは?
チンチラもヒマラヤンも、ペルシャの仲間
野生と対照的な形が珍重され、改良が続けられた結果です。純血種のネコの3分の2を占めるぺルシャ種は純血のネコの3分の2をしめるほどです。
チンチラは、スモーク.ペルシャにシルバー・ペルシャを交配させて、生まれます。ヒマラヤンは、ぺルシャとシャムを交配して作り出された品種ですが、体系はペルシャネコの特徴を受け継いでいます。
チンチラもヒマラヤンも、ぺルシャの仲間です。ペルシャの外見の特徴として、鼻ペチャで顔が、平たいことが挙げられます。
ペルシャのもともとの出身地はアフガニスタンですが、そのあとトルコやアルメニア地方へ広がりました。
毛が長く美しく、また鼻がつぶれて平たい顔をした動物に、何か高貴なものを感じてしまうのかもしれません。
アビシニアンは古代エジプトにいたネコの子孫?
古代のネコの姿にあこがれ
筋肉質な体と野性的な毛並みが特徴です。野生で生活をしていたネコが、最初に家畜化されたのは、北アフリカから西アジアにかけてだといわれています。
エジプトのピラミッドからは、埋葬されたネコのミイラが何体も発掘されています。また墓の壁画にもネコの姿が描かれています。
その壁画に描かれたネコと、そっくりな姿をしているのがアビシニアンです。筋肉質の体と野性的な毛並みは、いかにも「クレオパトラに愛された、古代エジプトの聖なるネコの子孫」といった風貌です。
しかしアビシニアンは、「古代エジプトのネコの了孫」というより設、f古代エジプトのネコにあこがれた人たちが作り出したネコ」というたほうが正しいようです。
エチオピアからイギリスに輸入されて改良
アビシニアンという品種の起源となるネコが、エチオピアからイギリスに輸入されたのは19世紀後半のことです。
そこから長い首と短く筋肉質の足、霜降り状の毛を作り出すために、品種改良が重ねられていったのです。
アビシニアンは、アメリカでは1917年、イギリスでは1926年に純血種として認められました。
アビシニアンは、その体つきから「バレエキャツト」という名前がつけられています。動きもしなやかで、ほかのネコと比べても狩りをとても得意としています。
古代エジプトのネコの直系の子孫ではないかもしれませんが、美しく神秘的な姿に魅せられる飼い主は少なくありません。ヨーロッパでは代表的な人気品種となっています。
アメリカン・ショートヘアはネズミとり名人
先祖は船のネズミとり係
アメリカン・ショートヘアは、模様も体格も働くネコに最適でした。ヨーロッパから船で渡った2匹のネコが祖先だといわれています。
1620年、イギリスでの迫害から逃れるために、102人のピューリタン(清教徒)がメイフラワー号に乗ってアメリカに渡ってきました。
このとき、2匹のショートヘアのネコがメイフラワー号に同乗していたという記録があるそうです。
長い船旅では、船のなかにある食糧がネズミに食べられてしまうと、食糧難に陥ってしまうので、それを防ぐためだったそうです。
狭い船内でネズミが大量発生すると、衛生環境が悪化して病気が起こりやすくな流こともあり、ネコがネズミ退治の役割をになったというわけです。
その後もたくさんの人たちがヨーロッパからアメリカに船で渡ってきましたが、いつもネコがいっしょだったといわれています。
そして、当時、こうしてアメリカに渡ってきたネコたちはバスター・ブラウン=ネズミの狩人と呼ばれていたそうです。
アメリカに着いたネコたちは、ヨーロッパにいた頃よりもたくましくなっていきました。当時のアメリカの自然環境は過酷で、能力があり、体格が優れたネコでないと生き残れなかったわけです。
先祖はネズミとりの仕事をしていて、そのなかでもハンティング能力に長けたネコがアメリカン・ショートヘアになったのです。したがって、ネズミとり名人なのは当然です。
口シアン・ブルーはロシア産
ロシア原産でもイギリス育ち
ロシアンブルーの毛は密ですが、薄いので寒さは苦手出そうです。ロシアン・ブルーの原産地は、ロシア北西部のアーケンジェルだといわれています。
1860年代にイギリスの船乗りや商人たちが、青く密な毛並みが特徴的なこのネコをアーケンジェルからイギリスに連れ帰ったのがはじまりだとされています。
そのため当時は「アーケンジェル・ブルー」などと呼ばれていました。ただし当時は今よりも体が大柄で、瞳の色も黄色だったようです。
「ロシアンブルー」という名前が定着したのは1940〜1950年代以降です。でもこの時点では既に、ずいぶんとイギリス人による改良が進んでいました。
ロシア人のブリーダーがイギリスを訪ねてロシアンブルーを見たときに、「これはイギリスのネコではないか」と話したというエピソードがあるほどです。
ですからロシアン.ブルーはロシア生まれといっても、実際に育ったのはイギリスです。被毛が厚くビロードのなので、寒さに強いとはいわれていますが、真冬の寒さに耐えられるほどではありません。
ほかのネコと同じように、冬は暖房のある部屋で、ぬくぬくと過ごさせてあげたいものです。
個体差はあるがあまり鳴かない
ロシアン・ブルーは、子ネコのときはやんちゃですが、成長するにつれておとなしくなります。警戒心が強いものの、飼い主にはよくなつきます。
また個体差はありますが、一般的に発情期をのぞくと大きな声で鳴かないといわれ、ボイスレスキャツトの異名を持っています。