犬の発情期とヒートの仕組み、恋愛感情ではない、子孫を残す喜びとは

子孫を残したい、本能が恋を生み出す

なかなか告白できない奥手の犬

これは、勇気がないのではなく経験不足なんです。社交性は子犬のころからきたえられるものなのです。

犬には恋愛感情はありませんが、交際上手の犬と、苦手な犬がいるのは事実です。

子犬のころにしっかり社会勉強をして、おおらかに育った犬は、相手が異性か同性かにかかわらず、ほかの犬と上手に交際をすることができます。

対面したときの挨拶の仕方が上手で、相手を寛容に受け入れられるため、公園での遊び友達としてだけでなく、結婚相手としても最適といえるでしょう。

そっぼを向いてしまうのは奥手

交配に成功した経験があると、その体験を覚えているため、雄はヒー卜(発情)中の雌に出会ったとき、より積極的になります。

ただし恋愛感情ではなく、あくまでも子孫を多く残したいという動物的本能です。社交下手な性格の原因は、体験不足です。

子犬のころに社会勉強をしなかった犬は、ほかの犬や家族以外の生き物、家の外の出来事にたいして、過剰に神経質になります。

恥ずかしがりな性格なため、ほかの動物はもちろん、犬同士のつきあい方もわからず、経験も重ねられません。

結婚相手どころか、公園で遊び相手と接することもできません。社交下手な性格に見える犬がいるとしたら、勇気がないのではなく、経験が足りないのです。経験をつめば、積極的な犬になります。

異性への愛に目覚めるのは、何歳ごろ

生後6カ月をすぎると本能が働きだします。はじめてのヒート(発情)の時期は、犬種により異なりますが、小型犬なら早ければ生後4カ月前後にやってきます。

成熟に時間のかかる大型犬はもう少し後で、生後1年前後です。それは雌にとっての思春期でもあります。一方、雄が交配可能となるのは、思春期がおとずれる生後6〜12カ月といわれています。

最初のヒートがきたからといって、かならずしも完全に成熟した体になったわけではありません。妊娠することは可能ですが、1歳未満での繁殖はやめたほうがいいでしょう。

ヒートして異性を求める姿を見ると、感情がこもったことのように思えますが、恋愛感情はありません。子孫を残すための本能的な行動です。興奮をするのも、相手を追い求めるのも、やはり本能といえます。

もてる、もてないの違い

誰とでも仲良くできる性格の犬がもてます。犬は見ためのかっこよさで相手を選ぶことはありません。それでも「うちの犬には、ヒート(発情)に関係なくいつもオス犬が寄ってくる」と自慢する飼い主さんがいるのも事実です。

たしかに、よくもてる犬はいます。公園や散歩コースなどで、おおらかな犬や、性格のよさそうな犬が好かれているケースをよく見かけます。

おそらくそういう犬たちは、どの犬にたいしても攻撃的ではなく、支配性も低いのでしょう。優しい性格で、おだやかなしぐさをします。

ほかの犬たちにとっては、近寄っても威嚇されないので、そばに行きやすいのでしょう。そのため、多くの犬が集まるわけです。

もてるにおいを出している犬

温厚な性格の犬には、誰とでも仲良くできるという魅力がありますが、もてる理由がそれだけで説明できるわけではありません。

性格のほかに、犬だけにわかる魅惑的なフェロモンのようなにおいを発していることも考えられます。ただし、においや身体的な特徴と、もてることとの関係は、いまのところ科学的にはわかっていません。

雌を見ると興奮するのは浮気っぽい?

それが普通の雄

雌はだいたい年に2回ある犬種によって違いがありますが、雌は最初のヒート(発情)から後は、年に2回、ヒートがやってきます。

年に2回といっても、かならず春と秋にやってくるなどと、時期が決まっているわけではありません。ヒートの兆候が見えたときがその時期なのだと判断します。

ヒートは通常、2〜3週間続きます。もっとも妊娠率が高いタイミングは、ヒートがはじまってから0〜14日のころの、出血がおさまりかけた時期です。

その時期には、雌は雄を積極的に受け入れようとします。しかしそれ以外の時期は、妊娠しないタイミングのせいか、雌はヒート中でも交尾を嫌がることがあります。

ときには攻撃的に雄を拒絶することもあります。

厳密にいうと雄にはヒートはない

「うちの犬、ヒートになると食欲が落ちてソワソワするの」などと、雄にもヒートがあると思っている飼い主さんがいます。

それは勘違いです。雄にはヒートはなく、そうした言葉は用いません。雄は、ヒート中の雌のにおいに刺激されて、興奮しているだけです。

雌のように、体の変化によって平常時とヒートが分かれているというわけではないのです。ヒート中のいいにおいのする雌がそばにいれば、雄は一年中いつでも興奮し交尾できます。

カップル成立

決め手はどこだった?

まず、お互いのにおいをかぎあって自己紹介します。ヒート中の雌のおしっこには、雄を引きつけるフェロモンがあります。

そのにおいをかぎつけたりすると、雄は雌を追いかけて、自分の体の側面を見せます。すると、雌が近づき、その体のにおいをかぎます。

雄が雌の体に前足をかけてプロポーズ雌が雄を調べて、その相手を気に入ったら、自分のにおいをかがせます。

雄は雌の体に前足をのせることもあります。その後、雌が受け入れることを決めると、雄は雌の背中に乗りかかるようにして、交尾をします。

これが犬のプロポーズといえるでしょう。犬同士は上下関係がはっきりしているため、雌が優位の場合は、劣位の雄を受け入れることはあまりありません。

好みにあわない雄にたいして、かみついて拒絶することもあります。しかし、純血種の場合は、ブリーダーが雄と雌を選んで夫婦にしていることがほとんどです。

雄が雌の気に入らないお見合い相手であっても、ブリーダーが上手にサポートして、仲良くなるようにします。

犬は人間と暮らして長いので、野生動物のように繁殖させるのがむずかしいということはありません。

ヒートで性格が変わったようになる

ふだんより神経過敏で攻撃的なのはなぜ?

ホルモンバランスがくずれて、イライラしやすくなります。さまざまな意識が過剰になります悪気があってピリピリしているわけではないんですね。

メスの犬はヒート(発情)中には、妊娠するしないにかかわらず、妊娠時と同じホルモンの変化が起きます。

受精した卵をいつでも子宮に受け入れるようにして、できるだけ妊娠率を高めるためと考えられます。そのため、食べ物の好みが変わったり、食欲不振になったり、いつもよりゆったりした行動になったりします。

ときには母乳が出るようになる犬もいます。さらに、子育て中の動物というのは、母性本能が高まり自分の巣や子どもを守るために攻撃性や警戒心が強まります。

そのためにピリピリしているようにみえます。オスの犬の場合は、自分がヒートするわけではないので、そうしたホルモンの変化は起こりません。

しかし、ヒート中のメスの犬のにおいがすると興奮して、庭から脱走したり、食欲不振になったりすることがあります。それがかなわないと、ストレスでイライラして、ほえたりします。

ヒートがすぎれば、またおだやかに

メスの犬はヒー卜してしばらくは体に変化が起きていて、数日間はピリピリするかもしれません。ヒートが終われば、いつもの性格に戻ります。オスの場合は近くにメスがいなくなれば、平静に戻ります。

ホルモンバランスで性格が変わる?

犬によりますが、オスは去勢すれば、メスをめぐる争いやなわばりへの意識が減って、攻撃性や支配性が低くなり、飼いやすい性格に変わることが多いようです。

りっぱな大人になるための社会勉強

生後3〜15週の間に、生き方を学ぶ

生後3〜15週、つまりおよそ2〜4力月齢を、犬の「社会化期」といいます。この時期にさまざまなことを体験すると、多少のストレスには動じない、タフな精神力になります。

反対に、この時期に飼い主以外の人やほかの犬、社会とのふれあいがなく、孤独な生活を送ると、内向的で臆病な性格になる可能性が高くなります。

さまざまな犬や、動物、ものとの出会いを体験させる

子犬のときは、恐怖心よりも好奇心や探求心のほうが勝っています。その気持ちを大切にして、どんどん社会勉強をさせましょう。

犬はもちろん、猫やほかの動物、や掃除機などの道具に近づく経験をつませることが大事です。生後5カ月をすぎると、しだいに警戒心が強くなっていき、見知らぬものにおびえるようになります。

社会化期のうちに、できるかぎりまわりのさまざまなものに触れさせるようにしましょう。

犬が恋をしている?

好ききらいはあっても、恋心はなさそう

会って楽しい犬はいるけれど、相性のよい犬や仲良くなれそうなタイプはいても、犬には恋心とか片思いという感情はありません。

ただ、異性・同性を問わず、好ききらいはあります。すれ違う犬の歩き方や耳の向き、しっぽの動きなどから相手の性格や気分をいちはやく察知し、友好的にふるまうべきか、威嚇すべきかを判断しています。

恋愛感情をもつ余裕がないのかもしれません。野生動物には、恋愛感情で繁殖相手を選ぶ余裕はありません。

なわばりの中にヒート中(発情期)の相手がいれば、感情に関係なく交尾し、1頭でも多くの子孫を残そうとします。

ドッグショーのチャンピオン犬も、迷子になった野良犬も、繁殖相手としての魅力は変わりません。

好きになるのはどういうタイプ?

同性でも異性でも好きなタイプがいる

恋愛感怖はなくても、経験によって、好きなタイプやきらいなタイプができてきます。たとえば、子犬のころにかまれたことがあると、そのトラウマがずっと残ってしまいます。

反対に、いつも一緒に遊んでくれる犬が近くにいる場合は、ほかの犬にも好印象をもちます。

好きなタイプはどの子?

人とばかり仲良くしているところを見ると、「この犬の好きなタイプはこんな子なんだ」と思えるかもしれません。

しかしそれは、恋愛感情としての好きではなく、経験によって、よい印象をもっているだけなのです。

子犬の時期にできた友情のきずなはずっと残ります。子犬時代に、いつも公園で出会う散歩仲間のなかから、とくに仲良しの犬ができることがあります。

犬の社会行動の本質は、安定した社会的グループをつくること。こうした子犬時代に署んだ特別な友情関係は、心の成長のためにも重要です。

どんな犬を友達に選ぶかは、犬によって好みがバラバラです。お互いの性格の相性もあるでしょうし、もしかしたら人間には判別できないにおいがするなど、好きになる特別なきっかけがあるのかもしれません。

こうしてできた犬の親友は、仮にしばらく会えない期間があっても、忘れることはなく続き、再会したときには大興奮し、喜びます。